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子育てにまつわるテーマについて専門家の方からのリレーコラムです。
【日射病・熱射病】
これからの時期よくみられる熱中症についてお話します。熱中症は熱射病と日射病を 合わせていう言葉ですが、この両者には大きな違いがあります。
日射病は全身を日光などに長時間さらされたときに起こり、血管の拡張や脳貧血などから 血圧も下がり、めまいや頭痛、ひどいときには痙攣(熱けいれんと呼ばれます) をともなった意識障害も起こします。この場合にはむしろ体温が低下し、 顔面の蒼白や冷感をともないます。
いっぽう熱射病は高温下での運動や労働などで、身体の中で作られた熱が放散されない ときに起こり、進行すると汗も出なくなります。体温は40度を超え、意識がなくなります。 これは極めて危険な状態で、放っておくと命にかかわります。すぐに救急車を呼び、 集中治療室のある病院へ運ばねばなりません。
つまり、熱射病の方が非常に危険な状態なのですが、一般には両者が混同されており、 実際のところ医師でもはっきりとその区別を説明するのは難しいのです。 これらに比べて、医療の現場で最もよく見られるのが、これから述べる「熱疲労」の症状です。
熱射病ほどは重態でなくても、発熱、頭痛、全身の倦怠をともなう状態があり、 これが一般に「熱疲労」と呼ばれるものです。多くはお昼に炎天下で運動して、 その日の夕方から夜に脱水症状をきたす状態です。実際に病院に来る患者さんはこの状態が 一番多いのですが、これも熱射病の前段階ですから油断はできません。脱水状態で身体中の ナトリウムが減少していますから、点滴が極めて有効な治療法となります。 約1時間かけて、500ミリリットルほどの点滴をすると、それだけでほぼ回復します。
熱中症はたいがい屋外で発症します。昔ながらのスパルタ式で練習中に水を飲ませない などというのスポーツ指導は、今はほとんど無くなっていますが、この頃は一瞬で測定できる 優れた体温計が開発され、スポーツ指導者の間で普及してきています。 日本体育協会でも近年、炎天下での練習中には定期的に選手の体温をチェックする指導法が 進められ始めました。それでも発症した場合は、まず涼しい場所に移動させて 足を高くして横にならせ、スポーツドリンク、それがない場合は1リットルの水に10gの食塩を 混ぜて飲ませます。しっかり呼吸できているか、意識があるかなど、状態を見ながら慎重に対処して下さい。
2006.6
松本浩彦先生 プロフィール
医療法人 社団 甲南回生 松本クリニック院長 日本体育協会公認スポーツドクター
昭和35年、神戸市灘区生まれ。平成11年4月、家庭の総合医としての地域医療をめざし独立開業。クリニックのコンセプトは「街のコンビニクリニック」。 専門は消化器外科、心臓血管外科だが、0歳の小児から100歳を超える高齢者まで分け隔てなく、プライマリー・ケア(初期治療)に重点を置いた総合診療科をめざす。 また美容外科、美容皮膚科の分野でも常に最新の機器と技術を導入し、精力的に診療や学会活動を行っている。