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子育てにまつわるテーマについて専門家の方からのリレーコラムです。
【子どものいびき】
『いびき』は、昔から「気持ち良さそうにいびきをかいて眠っている」などといわれ、 本人は自覚しませんので問題にされませんでした。それが『睡眠時無呼吸症候群』という言葉が JR西日本の運転手が居眠り運転をしたことが大きく新聞紙上に報道されてから国民に広く知られ、 いびきを家族に指摘されて外来に相談にこられる患者さんが増えました。 『いびき』は脳に原因が有ることも稀にはありますが、殆どは鼻から気管までのどこかで呼吸を妨げる 障害が原因になる閉塞性といわれるものが大部分です。
いびきの何が悪いのか。子どものいびきの原因は、アデノイド(咽頭扁桃腺様増殖症)と扁桃肥大です。 日中でも口を開けている(鼻で呼吸できない)、食事の時間が長い(扁桃が大きくて食物を飲み込めない)、 結果として小柄な子どもが多い、等が目立つ症状です。一晩中呼吸の道が極端に狭くなり酸素が血中に不足して 脳に十分な酸素供給ができない、また体の疲労も取りきれないので日中も眠くてしかたがない。勉強にも身がはいらない。 もっと頑張れとしかってもそれは酷ですといわざるをえません。更に、子どもは睡眠中に成長ホルモンを分泌するのに、 睡眠が浅いので成長ホルモンの分泌が抑えられてしまい身体の成長が遅れてしまいます。
治療の原則としてアデノイド切除、扁桃摘出です。6才を過ぎるとアデノイドは自然に小さくなるのが普通です。 『いびき』のみならず滲出性中耳炎の原因の子どもは経過をみたりせずに迷わず手術を受けるべきです。 扁桃肥大も8才位で小さくなり始める子どもも稀におりますが、多くは大きいままなので肥大III度の子どもは是非手術をしてください。
その他アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎も原因になりますが、耳鼻咽喉科へ通えば、殆どのケースで管理可能です。 成人で使われるCPAPという眠る時に鼻に当てて陽圧をかけて呼吸が楽になる装置もありますが子どもには使いにくいもので 多くは子どもが嫌がって使用不可能になりやすいものです。
以前は、『いびき』など気にもしないという時代もありましたが、脳への酸素の供給が不足して大袈裟に言えば 寿命に影響するといわれますので、大きいいびきをかく子どもさんをお持ちの親御さんは耳鼻咽喉科へ受診されることをお勧めいたします。
2006.8
岡野安雅先生 プロフィール
昭和41年日本大学医学部卒業。京都大学医学部耳鼻咽喉科、神戸海星病院耳鼻咽喉科部長、米国ピッツバーク大学留学、ハザマ病院副院長、 城西歯科大学耳鼻科助教授を経て、現在、神戸市東灘区で岡野耳鼻咽喉科を開業。