|
日本人の身長は10年おきに発表されているのですが、現在男は170.8cm、女は158.1cmです。欧米人よりは低いですが、東南アジアの人と比べると高く、また、日本人の中でも大柄な家系もありますし、小柄な家系もあります。背が低いというのを厳密に定義するのは困難ですが、統計的に同性同年齢の子どもの平均から標準偏差の2倍以上低い場合(-2SD以下、2.3%以下:100人中2番目以下)をいいます。
背が低いから病気と言うわけではありません。ただし、病気がないかどうか注意したほうが良い場合もあると考えられます。身長が伸びない原因としては以下のようなものがあります。
成長ホルモン分泌不全症性低身長①は成長ホルモンの分泌不全によるもので、成長ホルモンを補充してあげると、身長の伸びが期待できます。女子に見られるターナー症候群②は染色体の異常によるものです。軟骨の異状による軟骨異栄養症③、腎臓が不全④でも低身長を示します。また、甲状腺ホルモンの低下、副甲状腺、副腎ホルモンの異常、未熟児で生まれた子どもも背の伸びが悪くなります。また、愛情遮断性低身長といい、愛情がなく育てられたり、いじめ、過度のストレスを受けると背が伸びません。アトピー性皮膚炎で蛋白食制限を過度に受けると背の伸びが悪くなり、制限をなくすと伸びが良くなった報告があります。
①,②,③,④は現在成長ホルモン治療の適用になっており、治療を受けると顕著な効果が得られます。成長ホルモン(growth hormone:GH)は、脳の下垂体から、視床下部から分泌される成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)により刺激を受けて分泌され、肝臓、腎臓、骨の細胞で成長因子(IGF-1)を生成し、骨の軟骨に働きかけ骨を伸ばす仕組みがわかっています(下図参照)。
人は人の成長ホルモンしか効果がなく、現在は組み替え遺伝子操作で、大腸菌や酵母で人の成長ホルモンを作り治療薬として使われています。すでに20年が経ち、副作用もほとんどないのがわかっています。もし、お子さんの背が低い(-2SD以下)とか身長の伸びが悪い(年4cm以下)と思われるようでしたら一度専門家の受診をお薦めします。簡単な検査ですので安心して受診してください。
【参考】
文部科学省のホームページ 学校保健統計調査
厚生労働省のホームページ 乳幼児身体発育調査報告書
2007.10 |