11月に入り、いよいよ冬の感染症の季節になってきました。冬と言えばインフルエンザの季節ですが、それに並んで多いのが“おなかの風邪”といわれる感染性胃腸炎です。その原因としては、いろいろな風邪ウイルスによるものや、便が白くなるロタウイルス、食中毒としても知られるノロウイルスなどがあります。今回はその特徴的な症状と対処法についてお話してみたいと思います。
まずは“おなかの風邪”についてですが、これはいわゆるウイルスによる胃腸炎を総称していうもので、嘔吐や下痢といった消化器症状をしめすものをいいます。「おなかの風邪ですね」というと、「でもハナも咳もないんですが・・・」と答える方がいらっしゃいますが、風邪ウイルスが原因で起こるということで“風邪”という言い方をします。突然嘔吐で発症することが多く、下痢をともなうこともあります。一晩吐いて、翌朝にはおさまっていることも多いので、ロタウイルスやノロウイルスに比べると、一般的には軽症なものが多いような印象です。アデノウイルスによる胃腸炎については、便を調べて原因を探る迅速診断キットがありますので原因ウイルスを調べることができますが、それ以外は原因はわからず、さまざまなウイルスによって起こります。
次にロタウイルスによる胃腸炎ですが、生後6ヶ月から5歳くらいまでの乳幼児に発症する事が多く、乳白色やレモン色のような白い下痢便が特徴です。嘔吐や激しい下痢が続くことが多いので、脱水症状が長引くことがあり、注意が必要です。ロタウイルスも便を調べると容易に診断できる迅速診断キットがありますので、小児科では汎用されています。始めの症状が軽そうに見えても、便を調べてロタウイルスとわかると、長引くことが予想されるので注意が必要だからです。
ロタウイルスと並んで最近有名になったノロウイルスによる胃腸炎も重症化することがあります。食中毒として紹介されることが多く、実際貝類などから感染することも多いですが、風邪と同じように吐物や便から手を介して経口感染したり、吐物に含まれたウイルスが空気中に飛び散り飛沫感染することもあります。最近ノロウイルスの迅速診断キットも開発されましたが、まだ健康保険で検査することができませんので、集団感染でなければはっきりとノロウイルスによる胃腸炎だと診断することはできません。が、重症の場合にノロウイルスかなあと予想して診断されることがあるようです。
いずれの場合も、かかってしまった時の対処法としては、脱水症にならないようこまめに少しずつイオン水などを補給することです。夜間に突然吐き始めることが多いので、あわてずに嘔吐が少しおさまった頃合いをみて、水分を少しだけ与えてみてください。治療薬としては、吐き気止めの座薬を使うことが多いです。お薬をのませようとしても吐いてしまうので、座薬が有効なのです。座薬が効いて嘔吐がおさまればいいのですが、それでも嘔吐が続くとき、またぐったりして顔色が悪くおしっこの回数も少ない時は、脱水症の徴候ですので、はやく医療機関を受診するようお勧めします。またその時に、便を持参していただくと診断に役立ちますので、ぜひおむつごと持って行ってくださいね。そして、くれぐれも注意していただきたいのは、吐物のあとかたづけや下痢便のおむつを交換したあとには、十分な手洗いとうがいをしていただくことです。大人も感染してしまい、家族みんなが胃腸炎でダウン!ということはよくありますので・・・。
2008.11 |